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  中学校の講話
 
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其れ恕か


 4月は出会いの月です。新しい仲間や学級と出会い、新鮮な気持ちと期待をもって学校生活がスタートしたと思います。誰もが「友だちと仲良くしたい」「楽しい学級・学校にしたい」という願いをもっていると思います。
 しかし、学級や集団のなかで人が嫌がることをしたり、人が傷つくことを言ったりすること、つまり、いじめがあってはそうした願いも叶いません。そして、私たちがめざす「みんなでつくる、みんなにとっていい学級や学校」とは、ほど遠いものになってしまいます。

 今から2,500年ほど昔、中国の思想家に孔子という人がいました。釈迦、キリストと並んで世界三大聖人の一人に数えられる人です。孔子の教えは『論語』という書物にまとめられています。そのなかで、弟子が孔子に、「一言(いちげん)にして以(もっ)て身(み)を終(お)うるまで之(これ)を行(おこな)うべき者(もの)有(あ)りや」、つまり「人生で最も大切なことを一言で言えば何でしょうか」と質問しました。すると孔子は「其(そ)れ恕(じょ)か。己(おのれ)の欲(ほっ)せざる所(ところ)、人(ひと)に施(ほどこ)すこと勿(なか)れ」、つまり「それは思いやりです。自分がされたくないことは人にはしてはならない」と答えました。人を受け容れ、認め、許し、その気持ちを思いやり、自分のことと同じように人のことを考えることこそ、人生で一番大切なことだと孔子は教えたのです。

 しかし、言うは易(やす)く、行うは難(かた)しです。なぜならば、誰でも他人より自分が可愛いからです。自分に甘く、他人に厳しくなるからです。まず、人のことよりも自分のことを優先させるのが、人間の本能なのです。何気ない言動が、実は人を傷つけてしまうということは、よくあります。そうした軽はずみな、相手のことを考えない言動をしたことのない人は、この世に一人もいないと思います。それほど、人が簡単に犯しやすい過ちです。人を嫌な気持ちにさせるのも、人間関係を悪くするのも、ほとんどが相手への思いやりのない軽はずみな言動です。

 「恕」の精神は、仲間づくりや学級づくり、つまり、よい人間関係を築くうえで大切なものの1つです。自分の言動に、相手への思いやりの心を乗せて伝えることができれば、なんて素晴らしいことでしょう。みなさんには、そんな思いやりのある人になってほしいと思っています。「恕」の精神が感じられる、そんな温かみのある学級・学校をみんなでつくっていきましょう。

(山田達夫)



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