HOME » 今週の講話 » 中学校の講話
 
  中学校の講話
 
※ 学校講話参考図書はこちらをご覧ください。
 

 

大丈夫だよ、絶対


 私たちが忘れてはならない「命」の記憶として、「3.11東日本大震災」があります。当時の映像を振り返ってみましょう。

 〈東日本大震災のTV映像をスクリーンなどに映す〉

 2万人近い死者を出した未曾有の大震災。発生から6年半ほどが経ちました。今も多くの方々が復旧・復興に努めていますが、まだ多くの課題が残されています。そんななか、今年(平成29年)3月11日の中日新聞のコラムに、当時、福島県の小学4年生だった吾妻直樹君の記事が掲載されました。彼は震災発生直後の夏休みに、こんな詩を書いています。ゆっくり読むので、よく聞いてください。

 強い地震の中
 「大丈夫だよ、絶対」
 とお母さんが言った。
 その言葉で少し落ち着いた…
 まるでま法の言葉だった…
 停電で暗い中
 お母さんは笑っていた
 いつも
 「大丈夫強いんだから」
 と言っていた
 ま法の言葉を連発した…

 お母さんは、自宅の重いピアノが数10センチも動くほどの大きな揺れのなかで、直樹君の顔が青ざめていくのを見逃しませんでした。そのとき「大丈夫だよ、絶対」この言葉とともに、直樹君をギュッと抱きしめたのだそうです。このあと、徐々に震災の状況が明らかになっていきます。それを見ながら直樹君は、「命は簡単になくなっちゃう。でも自分は今、生きている」と思ったそうです。直樹君の詩は後半に続きます。

 震災から一ヶ月後
 お父さんが東京から帰って来た
 お母さんは泣いた
 お父さんの顔を見て
 涙を流した
 頑張った涙
 お母さんが
 頑張るま法から解放された涙
 ま法使いのお母さんは
 この時から
 震災前のお母さんに戻った
 今度は
 ぼくがお母さんを守る
 ま法つかいにならなくても
 強くなって
 ぼくはぼくのままで
 お母さん
 そして家族を守る

 「直樹君は、『医療や福祉に役立つ研究をしたい』と語る高校1年生になった。身長はあれから、30センチも伸びたという」とコラムは結ばれています。
 人は、どんなに想像を絶するような困難な場面に直面しても、励ましあい信じあって、やがて立ち上がる、成長し続ける生き物だと思います。人の「命」とは、きっとそういうふうにできているのだと思います。


 今年も9月1日「防災の日」がやってきます。
 災害には、地震や津波、火山や風水害などの「自然災害」、大規模な火事や原子力・航空・鉄道・道路にかかわる「事故災害」があります。防災の日にはその名の通り、避難場所や経路、非常食や防災グッズ等の確認・点検、災害に応じた各種訓練が行われます。1つ1つをていねいに実施し、備えてもらいたいと思います。

 また、この日をきっかけに「命」の儚さや大切さを再認識し、自らの「命」を再び育み始めることに、究極のねらいはあります。直樹君のように「命の尊さを知り、人の温もりを知り、自分の命を人のために、精一杯輝かせよう」とする、そんな君たちであってほしい、そんなきっかけとなる9月1日にしてほしいと願っています。

(井上正英)



先週の中学校の講話